テレビ会議の同時接続を実現するMCU
誤差なく同時に繋がる利便性
個人間では問題が無くとも、複数の企業間で国外通信によるテレビ電話を利用していると、通信速度の問題から通信が不安定になるケースが度々発生します。
その際は、通信環境などを見直す必要があります。国外通信でも安定した回線を求める場合、MCUの導入を検討してみるのもいいでしょう。
MCUを導入することで、国内外問わず誤差のないスムーズなテレビ会議を行うことができます。
同時接続機能のメカニズムに迫る
テレビ会議で同時接続を可能にしているのは、MCUという多地点制御装置(サーバ)があるからです。
MCUの正式名称はMultipoint Control Unitといい、単語の頭文字を取ってMCUと呼ばれています。専用回線を用いて複数の発信地からの信号を中継して、同時接続を可能とする装置です。
MCU(多地点接続装置)の効果
会議の規模に左右されず、また端末装置に変更を加えることなく構築できることがMCUの特徴です。
MCUは、同時接続している拠点の映像や、音声といった各データをまとめて受け取り、各端末で見やすいように合成処理を行います。その後、合成処理を行ったデータを各端末に送り返す処理をしています。
この処理によって、テレビ会議(ビデオ会議)システムで多拠点を接続することが可能となるのです。
事前調整にかかる時間・コストを抑えることができる
テレビ会議は人が参加する会議ですので、会議の事前調整をする人件費がコストとして隠れています。
特に海外との通信の場合は、日程調整に国際電話を使う場合も多いでしょう。1回1回はそう大きな問題でもありませんが、月に何回も利用するとなると、費用もかかってしまいます。
こうした事前調整もMCUを経由して各拠点に連絡することで、1つ1つの拠点に連絡を入れずとも一度に日程を調整することができます。
接続方式は多岐にわたる
テレビ会議の接続方式には、大きく分けてH.323/H.320(ITU-T標準)、SIP(IETF標準)、その他の独自形式の3つがあります。
それぞれの特徴は下記となります。
H.323/H.320(ITU-T標準)
国連の下部組織であるITU-Tが勧告した国際標準で、主にテレビ会議専用機で利用されている接続方式です。
H.323とH.320は、使用する通信回線が異なります。H.320はISDN回線を、H.323はIP回線を利用しています。
テレビ会議業界では、最も長く利用されている接続方式ですので、H.323/320標準に準じている端末であれば接続に問題が生じる可能性も大幅に解消されます。
SIP(IETF標準)
SIPはH.323/H.320よりも後に作られた接続方法で、テレビ会議のための国際標準規格となります。H.323の方がメーカー間の相互接続性といった意味合いでは優れていますが、MCUを間に置くことでダイレクトに接続するよりも接続性を上げることができます。
他の機器が必要な場合も
接続方式で分けられる回線は相互互換がないため、異なる接続回線を利用している場合にはゲートウェイと呼ばれる機器が必要になることもあります。
例として、下記の図のようなパターンに分かれます。
MCUの接続範囲を広げる方法
システム活用、コストを抑えつつ多拠点でテレビ会議!
ブイキューブ テレビ会議システム「V-CUBE Box」
クラウド市場におけるWeb会議大手のブイキューブが提供する、MCU機能をクラウド上に持たせるタイプのテレビ会議システム。ハードとしてのMCUが不要になるため、従来のテレビ会議より低コストでシステムを導入できます。
接続には既存のインターネット回線を使用。リモコンを操作するだけでテレビ会議を開始できます。高画質・高音質で、国内外も問わず安定した接続で、スムーズなテレビ会議を実現。他社のテレビ会議システムとも接続可能です。2つのサポートチームと24時間365日営業のコールセンターによるバックアップが受けられるので、運用面でも安心ですね。
導入先の例として、日本航空や国立大学法人愛媛大学が挙がります。
導入企業の例 |
日本航空株式会社(全面入れ替え)、国立大学法人 愛媛大学(部分的な入れ替えまたは拠点拡張)、社会福祉法人 正勇会(新規導入)など |
パッケージ内容の例 |
テレビ会議システム本体、カメラ、マイク/スピーカー、リモコン、3年のハードウェア保証 |
その他の独自方式
H.323/H.320やSIPとは違い、独自の方式で接続しているものがこの「独自方式」に分類されます。
この独自タイプで多いのが、PCソフトウェアで利用するタイプのものです。p2p型やASP/SaaS型もこの独自方式に含まれています。
独自方式の多くはWebサーバなどを通じて、自動的にソフトウェアがインストールされる簡素化された操作性が特徴となっています。そして、そのほとんどがASP/SaaSでのサービス提供です。
しかし中にはP2P型や、Web会議型やVoIPの仕様をテレビ会議用に拡張したものなどがあります。
独自の接続方式を築いているところは、独自機能の実装することでユーザビリティの向上を目的にしている場合が多いです。
そのため、H.323/H.320やSIPを利用した製品との接続性は期待できません。
オンデマンドにも対応
多拠点テレビ会議には、リアルタイムでの接続とは別にオンデマンドのサービスがついています。オンデマンドとは、ユーザーやクライアントなどの要求に対し、データ送信やサービスの提供をすることを指します。この場合は出席できなかった会議のデータを残しておくことで、欠席した人も後から会議がどういう内容だったかを動画で視聴することができるようになっています。
セキュリティも充実
H.323/H.320やSIPは専用のOSを利用しているため、通常のパソコンのようにウィルスなどの心配はあまりありません。しかしながら、通信傍受に対しては注意が必要です。
その点、MCUは通信を暗号化するなどの高度なセキュリティ設定がされています。簡単に第三者に傍受されてしまうこともないため安心です。
また、無料のソフトやクラウド型のWeb会議サービスでは、どうしても同時接続人数や動作、セキュリティ面で不安があります。多人数で利用するとなると、会議中に接続が切れたりするようなトラブルが発生する可能性も少なくはありません。
より安心でスムーズな会議を行うためにも、MCUは有効です。
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多地点接続機能を導入する前に知るべき事
MCU(多地点接続装置)は設定やカスタマイズをする事ができますが、自社での装置運用・保守やデータセンター用意などが必要となってしまいます。また、多地点接続装置自体も高価なものであるため、費用は更に高くなることが考えられるのです。
保守などの手間を省く方法としては、多地点接続機能を提供している業者を利用するという方法があります。
業者を利用することで、設定の自由度こそ減りますが運用・保守等の手間を省くことが可能です。
気になる料金形態
レンタルでのMCU導入のために購入・設置・環境整備を行っていくとすると、導入時には拠点数分のライセンス費用と、サーバーソフトウエア費用、設置・設定費用が必要となります。また保守を依頼する場合は年間保守費用となります。安価なものでは、5拠点で150万円程度が目安です。
システムを選ぶポイント
既にWeb会議を導入している場合は、現在の環境に納得できているかどうかが判断基準となります。Web会議の動作や機能、料金体系が適切かを再チェックしましょう。
例えば、基本的に1対1でのビデオ通話しか行わず、多人数が参加するWeb会議を行っていないのに「いつか必要になるかもしれない」と、多数の同時接続数のWeb会議を利用しているというケースもあります。
この場合は余計なコストが発生する原因となります。乗り換える際は、1対1の通信に特化しているWeb会議を利用したほうが賢明です。
逆に、無料のビデオ通話機能で10名以上の参加人数の会議を行おうとしてもスムーズにいきません。こうした場合でも、適切なプランを見直す必要があります。多くのWeb会議は無料で試用できるので、自社にあったプランを試しながら探していきましょう。
同時接続数は料金プランに左右される
自社で運用する際にまず考えなければいけないことは、最大何人が会議に参加するかというところです。この同時接続人数によっては、料金プランも異なります。料金を想定するときには、希望している同時接続人数を実現するにはどのプランにすべきか、どのくらいの料金がかかるのかを考慮するといいでしょう。
目・耳・体で感じる【使い勝手はリアルに体感】
MCUを提供している業者の中には、実際に製品を体感してもらうことで導入を検討してもらうため、デモンストレーションルームを用意している業者もあります。デモンストレーションルームに赴き、実際に感覚を掴んでから導入を検討するというのも一つの手といえるでしょう。
Web会議サービスの導入は、今まで出張して会議を行っていた手間とコストを大きく引き下げ、より効率化されたシステムです。スムーズにWeb会議を行うためにも、MCUの導入は重要といえます。